<ミャンマーで評価を実施するまでの経緯>
BAJは、ミャンマーでも貧困度が高く、災害も多いラカイン州において5年間で100校の学校建設を行いました。こどもたちのために安全で快適な学習環境を作るのが目的ですが、それだけではなく、災害時に村人が学校に避難できるようにしたり、建設作業に村人がOJTで参加して、能力開発を図り、その後の収入向上に結びつけていったりすることも目標となっています。
BAJは会のミッションに従って活動を長年地道に行ってきましたが、評価を通じてその成果と課題を把握し、説明責任や事業改善に活かしていく知識・経験が十分ではありませんでした。学校建設というインフラ事業にもかかわらず住民参加を重視したユニークな社会開発であり、それを効果的に評価できる参加型評価や質的評価について総合的に学び習得する機会がありませんでした。そこで専門家である(参加型評価センター代表理事の)田中さんに手伝ってもらいながら、次のフェーズに学びを反映させていくことを目的に取り組みました。
<スタッフ自らの参加で100校の学校評価を行う>
ヤンゴン事務所で現地スタッフ6人と日本人4人で、参加型評価の方法を学びました。自分たちで評価目的を設定、プロジェクトの内容を確認して質問票を作り、インタビューの練習も行い、実際に2か村で試験的な調査を行いました。
その後、BAJチーム8人で約5か月かけて100校の学校をまわりインタビューをし、38項目の質問に対してでてきた結果から読み取れることを議論しました。
私たちは、成果として次の3つ、
課題として次の2つ
を参加型のプロセスを経て抽出することに成功しました。
<評価結果を共有して「事業改善」と「説明責任」に活かす>
この結果をいかし次のフェーズに課題の2つに焦点をあてて新しい活動として入れ込むことができました。ドナーへの説得にも時間はかかりませんでした。
時間をかけて評価し、議論し、結果を紡ぎだした後は、それを広く共有することに努めました。現地スタッフには、パワーポイントでまとめスライドを作成してもらい事業関係者に共有してもらいました。事業関係者のみならず、他事務所スタッフも参加する年次会でも、ミャンマー政府カウンターパートやBAJの本部やドナーへも共有しました。新しいフェーズに入り、新しい活動が追加になった理由についても、妥当性があり事業関係者らがはっきりと理解している点でも活動をスムーズにすすめるのに役立ちました。
苦労してやった活動をそれがうまくいっていてもいなくても定量的・定性的にもまとめ可視化することは、組織内部を強化するためにも必要なことだと感じました。
※BAJさんの評価報告は、代表理事のブログからも読めます。
調査結果をスタッフで討論、分析する様子
ミーティングをする森さん(中央)