参加型評価よくある質問

 

1.「評価」って怖いイメージがあるのですが?

評価=「他人から一方的に駄目出しされる」という誤解や、義務としての「評価のための評価」が横行しているため、その言葉から受ける印象がたいへん悪くなっています。本来評価は、事実を知り判断を行うことで教訓を学び、改善につなげ、支援者の方々にも満足を得られるという、非常にポジティブなものです。良い評価を経験すると「楽しさ」がわかります。また評価は結果を「数量化して測る」ことも大切ですが、数量化できないもの、人々の意識変化のプロセスなどを質的に分析することも重要な役割です。そのための手法も近年、たいへん洗練されてきています。

 

2. 参加型評価の特徴は何ですか、従来型評価と違いますか?

事実を調べて分析・判断をするのが評価の基本ですが、従来型評価では評価専門家が行います。参加型評価では、スタッフや受益者の住民など、プロジェクトの利害関係者が参加する点が異なります。評価専門家は関係者が評価を上手に出来るように、援助する進行役(ファシリテータ−)になります。参加型評価では関係者が参加するプロセスの中で、学習効果や改善へのモチベーション向上などが期待でき、援助や教育・社会福祉などの分野の改善に適していると言われています。

 

3. NGOプロジェクトの参加型評価の場合、現地の住民全員が参加するのですか?

全員が参加することが理想であり、民主的という考えもありますが、現実には難しい場合が多いと思います。評価プロセスに利害関係者が参加することがポイントなので、それはスタッフの場合もあれば、現地の住民の場合など多様です。一般的にたくさんの人が評価に参加するには、時間と手間がかかるので、何らかの代表を選ぶ場合もあります。評価を設計する段階で、評価の目的や予算、時間などに合わせて、大切な人がきちんと評価に関わっていけるように決めていきます。

 

4. 当事者が参加する評価では、結果が客観的でないのでは?

参加型評価は、当事者が参加することによる、学びやエンパワーメント効果が最大の魅力です。その結果、評価結果が改善に寄与する可能性が高まります。その一方、内部中心に評価を行うので、視点が限られたり、判断が甘くなるという可能性もあるかもしれません。しかしながら評価設計を慎重に行う、外部ファシリテーターがバランスを取ることによって十分克服が可能です。同じ事業に、第三者評価と参加型評価両方を実施した経験がありますが、結果は大差ありませんでした。

 

5. プロジェクト評価の実施を決定したら、すぐ現地調査を行うのですか?

すべての評価は、①評価設計→②データ収集・分析→③結果のまとめと報告(共有)というステップで進みます。現地調査は②に相当して重要ですが、①の評価設計がそれにも増して大切です。何のために何を、どう評価するかという土台を決めずに調査をしても、不必要な情報ばかり集まり必要なものが入手出来ないなど、時間と手間の無駄となります。参加型評価の場合、当事者が関わる中でエンパワーメントを目指していますので、その意味でも土台作りに時間をかけたいですね。

 

6. 参加型評価には、どのくらい時間がかかりますか?

評価するプロジェクトの規模や、どの程度まで深く調べるか、評価にどのくらい時間を割けるかによって変わります。一般的に数年間実施した海外プロジェクトを参加型で評価すると、国内打ち合わせ1〜2回、現地調査1〜3週間、帰国後報告会1回で終わります(調整可能)。評価費用の助成金申請や報告書を作る時間、調査・会合の準備。データの集計作業などはこの範囲に含まれていません。

 

7. 参加型評価には、どのくらいお金がかかりますか?

設計しだいでは自分達だけで、日常業務の範囲内で参加型評価は可能です。その場合あまり出費はありません。また何らかの調査を行うには、移動費・通信費や、集計費用などがかかります。もし外部ファシリテーターに進行を依頼する場合は、謝金や現地調査の渡航費・滞在費等が必要です。参加型評価センターにファシリテートをご依頼いただく際は、柔軟に対応します。お気軽にご相談ください。

 

8. 広報や資金調達など、国内組織や事業も評価できますか?

海外プロジェクトに限らず、手段と目的があるもの(文書化されてなくても、ある程度わかればOK)なら評価が可能です。例えば、NGOが行う「平和コンサート」のような単発のイベントや、連続の学習会やキャンペーン活動も参加型で評価することで、当事者意識を高め、質を向上させていくことができます。評価のやり方を一度覚えれば、いろいろ応用が効くということですね。

 

9.  評価の結果は、その後の活動に反映されるのでしょうか?

教訓を得るために評価しているので、結果が活かされなければ意味がありません。しかし残念ながら時にされない場合もあります。評価結果が活かされるには、第一にそれが妥当な内容であることが重要です。さらに結果が当事者であるスタッフや住民、また組織の意志決定者(理事等)に伝わり、納得してもらうことが大切です。その意味で利害関係者自らが評価に参加し、フィードバックを重視する参加型評価は、評価結果がその後の改善に活かされる可能性が高いアプローチだといえます。

 

10. 欧米の国際NGOも、評価をしているのでしょうか

歴史ある欧米の大きな国際NGOの多くは、事業や組織を定期的に評価して、改善と説明責任を果たす体制が構築され(PDCAサイクル)、評価の理論や手法の研究も盛んです。またやり方も外部の専門家に評価を依頼する場合や、内部に評価やモニタリング専門の職員や部署があることも一般的です。評価のために時間と予算を予め確保し、支援者もそれを理解しているから可能なのだと思います。