参加型評価とは?

参加型評価は、受益者を含めた利害関係者(ステークホルダー)が、評価プロセスに参加することで、プロジェクト理解、当事者意識高揚、能力開発などを通じてエンパワーメントや事業・組織の改善に貢献することができる評価アプローチです。以下のような定義があります。

  • 参加型評価とは、評価調査の計画・実施に関する意思決定やその他の活動に、プログラムのスタッフや関係者を巻き込む評価アプローチ全般を意味する言葉である(Encyclopedia of Evaluation 2005)
  • 最終受益者を含めた幅広い関係者(stakeholders)が、評価計画の作成、情報の提供・収集・分析、プロジェクトの当初計画の修正などに可能な限り参加して行う評価(国際協力事業団  2001)

学びと改善が得意

評価を行う目的は、①「学び・改善」、及び②「説明責任」、の二つだと言われています。①は、評価を通じて得られた教訓を将来の活動に反映させることで、は、評価結果を利害関係者(ステークホルダー)に公表・報告することです。これらは相互に関連しているので、両方で実施される評価が多いですが、目的によってやり方や利用者が異なると言われます。参加型評価は、二つの評価目的の中では、の「学びと改善」に優れていると言われています。評価にスタッフや受益者など関係者が参加、対話を行います。その過程で関係者の「気づき」や「学び」を促すことを通じて、モチベーションが高まったり、相互理解が進んだりするエンパワーメント効果が発揮されます。これらの結果として、評価結果が活用される可能性が高まり、プロジェクトが「改善」されていきます。

「納得感」のある説明責任

参加型評価の強みは、①「学びと改善」ですが、②「説明責任」の達成にも独自の強みがあります。それは評価のプロセスに利害関係者が参加し、ともに評価結果を導き出し、共有することによって達成される説明責任です。自分たちの活動の成果と課題を自分たちで調べ、理解していく。数量的な結果報告を受動的に見るだけとは異なる、「納得感」ある説明責任を果たすことができます

参加型評価の進め方:以下のステップを踏みます

まずは、スタッフや受益者などの利害関係者の代表から構成される「評価チーム」を結成します。評価者はファシリテーターとなって、チームが以下の評価プロセスを進行するお手伝いをします。

  1. 評価の設計(計画):評価チームで話し合い、評価の枠組みを計画します。具体的には、①評価の目的を定め、②誰が参加するのかを決め、③対象プロジェクトの詳細を確認して、④評価設問(=評価を通じて何を知りたいか)を明らかにして、⑤実際のデータ収集方法を検討します。
  2. データ収集・分析:評価設計に基づいて、インタビューやアンケート調査など、現場でデータ収集を行います。その後、収集したデータを関係者(チーム)の参加で解釈(分析)します。自分たちの活動を自ら振り返ることで、良かった点(成果)と、改善が望まれる点(課題)が、またそうなった理由(教訓)を明らかにしていきます。そして良い点を伸ばし、足りない点を補うにはどうするか皆で「対話」を行い、それを通じて「改善」の方向性を考えていきます(提言)
  3. 結果のまとめと報告:導き出された評価結果を文章などにまとめ、必要な利害関係者に報告します。評価結果を関係者で広く共有することで、結果が活用される度合いが高まります。

こんな方にオススメします

  • NGO/NPOなど国際協力・環境保全・福祉・教育・街づくり、の活動を「改善」したい方
  • 評価に「納得感ある」説明責任や、関係者の「学び」や「エンパワーメント」を期待している方
  • 「専門家」によるのではなく、自分たちで「自分ごと」として評価を行いたい方
  • 意識・行動変容など、数量化できない質的な変化を把握したり、教訓を学んだりしたい方